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屋外広告の更新には「安全点検報告書」が必要です!

屋外広告物の許可制度

許可地域内で広告物を表示・設置しようとする場合、規定の基準により都道府県知事の許可が必要となります。

しかし、実際の許可申請先は知事に限らず、指定都市や中核市を含めた市区町村長など、権限を委任された先となります。

添付書面

  1. 土地建物所有者等承諾書
  2. 色彩・意匠を示す図面
  3. 他法令の許可書
  4. 建築確認書(高さが4mを超える広告物に限る)
  5. 設計図書(付近見取り図を含む)

そのほか、仕様書や周辺写真、構造計算書の添付が必要となる地方自治体もあります。

許可の期限は3年を超えることができないとされているため、3年以下の期間ごとに許可等を更新し、風致上及び安全上問題があるかどうかを再チェックすることが必要とされています。その際には「安全点検報告書」を添付しなければなりません。

点検ってどうするの?

点検記録の作成方法

「劣化は常に進行すること」を考慮すると、広告物は一度点検すれば良いというわけではなく、点検時の状態やその経過がわかるような記録を作成する必要があります。

そのため、写真を添付することが適切であり、改正後のガイドラインにもその点が明記されています。また、点検報告書は共通書式とすることが望ましく、報告者が利用できるよう「看板カルテ」を一案として設けています。

点検頻度

点検の頻度は点検方法とともに、部位ごと、経過年数ごとで定めています。
主な広告物は「設置から15年まで」を「3年に1度の点検頻度」とし、15年以降は「1年ごとの点検」とされています。
初回の点検は目視でも構いませんが、2回目以降の点検では「打音」や「打診」を含む標準点検を行わなければなりません。
また、塩害や強風など特殊な環境下の広告物は点検頻度を高め、地震や台風などの災害発生時には直後の目視点検が必要となります。

どこを点検するの?

接合箇所

屋外広告物を外壁などへ設置する場合、アンカーボルトによって固定することになりますが、広告物の規模により工法は変わってきます。
軽量の広告物の場合、ビスを壁側に打ち込むことで固定できます。

しかし、重量物の場合は、壁側にしっかりとしたアンカーボルトを用意しておかなければなりません。

新築時にあらかじめ埋め込むアンカーや、溶接や挟み込みの場合は問題ありません。
ところが、建築引渡し後となりますと「あと施工アンカー」という施工法が多く用いられています。
どちらも経年による資材の劣化は同じですが、あと施工アンカーの場合「コンクリートのコーン破壊」「打ち込み長さの不足」「障害物によるアンカーボルトの欠損」などが起こりうると考えられます。
けれども、点検の際には外観から露出している部分しか確認できず、正確な判定ができないケースもあります。

疲労破壊

材料が受ける力学的負荷は

  1. 長期荷重
  2. 繰り返し荷重
  3. 偶発的荷重

の三つに分けられます。
しかし、「繰り返し荷重」のように、小さな力がくりかえし加わることによって微細な亀裂が生じ破壊に至る現象を、「疲労破壊」と呼びます。
このような現象は主に金属で見られますが、「樹脂」「ガラス」「セラミック」など多様な材料で見受けられ、広告物の落下事故においても疲労破壊が原因と思われるケースが見られます。

屋外広告物は、地面から伝わる振動や風圧によって、常に細かく振動している状態となる場合があり、その応力が構造上弱い点に集中し、金属の疲労破壊を引き起こすことがあります。
例えば、高さのある自立看板の根元部分や支柱と表示面との接合部分などが構造上弱い点に当たりますが、その点に応力が集中し、ボルトや溶接、主材自体が破断したと見受けられる事故が報告されています。
新設時には全く問題ないことですが、経年による疲労破壊に加えて「錆や腐食」といった要因が重なると、劣化が急激に促進されることも考えられます。

点検作業の流れ

  1. 事前準備
  2. 点検作業
  3. 報告書作成

の三つがあります。
このうち最も重要なのは「①事前準備」です。この点をしっかりと押さえていると、後の作業がスムーズに進みます。
ところが、点検対象が他社で作られたもので詳細が全く分からない場合や、点検だからと軽く見て準備を十分にせず作業に臨むと、流れが大きく崩れることもあります。

点検ポイント

  • 図面等で点検対象物の状態を把握できているか。
  • 作業場所の状況を実際に見る等で、事前に現状を把握できているか。
  • 広告物所有者や点検委託者が現場に立ち会わない場合、緊急連絡ができる体制が整っているか。
  • 照明の管球交換、錆止め処置などの保守範囲を取り決めているか。

高所点検のポイント

  • 適切な足場、高所作業車の選定が行われているか。
  • 道路を使用する際、道路使用許可を得て、現場へ許可証を携行しているか。
  • 足場の組み立て、高所作業車の運転操作に、有資格者が従事する計画となっているか。
  • 高所作業に適した服装や装備を身に着けているか。
  • 落下物を想定し、作業箇所直下の養生や作業帯確保は十分であるか。

さらに高い安全を求めて…

詳細点検

屋外広告物点検基準の第14条において、検査機器を用いて専門点検技能者が行う点検を「詳細点検」と位置付けています。
標準点検により現状の把握をした結果、対象物が継続使用可能かどうかなどを数値的基準に照らして判断する場合、詳細点検の必要性が出てきます。
広告物の安全性を示すための数値測定を行う一般的なものには、アンカーボルトの引き抜き強度試験や銅材の肉厚測定などが挙げられます。
測定器の正しい取扱い方法を理解しておく必要があるとともに、この値であれば安全であるという根拠もしっかりと押さえておかねばなりません。
詳細点検を行うには、標準点検よりも一段高い技術レベルが必要です。

廣岡屋で行う詳細点検

アンカーボルト引き抜き試験機

コンクリートに打ち込まれたアンカーボルトの引き抜き耐力を試験する機器。
あらかじめ設定した数値で負荷をかけることにより、アンカーが抜けたりコンクリートが崩壊したりしないか確認することで安全を確かめます。
アンカーボルト周囲に機器を設置するスペースや、適正なボルト長がなければ試験できません。

内視鏡カメラスコープ

看板内部など、隠ぺいされた部分の状態を調べるための機器。
看板外装の隙間や小さく開けた穴から先端カメラを挿入し、画像を記録することができます。性能により、先端カメラの首を自在に振ることができるタイプや、LEDライト付きのタイプがあります。
最近では、スマートフォンに接続して使用できる簡易機能タイプも売られています。

赤外線サーモセンサー

測定対象物が放射している赤外線を受けて温度を測り、画像に色合いで表示することができる温度計。
分電盤内部の配線不良や圧着不良、故障による発熱を検知することができます。

破壊検査

建築物等では調査対象が隠ぺいされている場合、破壊して露出させる手法を「破壊検査」と呼びます。
屋外広告物では、コンクリートに埋まっている箇所をどうしても確認する必要がある場合、コンクリートを斫ってアンカーボルトや鋼材の劣化具合を見ます。
また、開口部のない広告物の内部を確認したい場合、開口を設けることがあります。